オリンピックよりコロナ?今労務が考えるテレワーク対策!




いよいよ2020年オリンピックイヤーです!

実に56年ぶりの東京開催のオリンピックであり、都心を中心にそこかしこで大規模な街の再開発が進んでいます。

オリンピックによって世界中から1,000万人以上の人が東京に集まることが予想されており、JRなどの発表では乗車率200%の電車に乗る人が通常の1.5倍ぐらいになることが予想されています。

相当な街中の混雑が予想される中、企業の人事労務担当者にとってはオリンピック期間中の従業員の安全をどう確保するかも懸念事項の一つかと思います。


そんな中、新型コロナウィルスの感染が日本各地でみられるようになり、オリンピックより前に対策をする必要がでてきました。


今回は、緊急事態も含め企業が取りうる労務上の対策を解説していきます。



通勤などの混雑から従業員を守り、安全に業務に従事させるために取りうる対策として、 下記のようなものが考えられます。

①時差出勤制度

②フレックスタイム勤務制度

③リモートワーク


①の時差出勤制度は始業・終業時刻の、繰り上げ繰り下げ等を行うもので、例えば通常の始業・終業時刻が朝9時~18時の企業が、朝7時~16時を所定労働時間とするといったことがこの時差出勤制度にあたります。

朝に始業時間を繰り上げることにより通常の通勤時間から離れることになり、混雑回避に一定の効果は見込めるものと考えられます。


②のフレックスタイム勤務制度は、コアタイムを除き、始業・終業の時刻を自身で決定できるという制度です。各自労働時間を調整することが可能ですので、稼働を短くして、それ以外の時期に多く稼働するといったことも可能になります。企業全体でコアタイムを短くする、撤廃するといった対応を検討する企業もあるかもしれません。


ただ、オリンピックについては東京都が公開している大会輸送影響度マップでは朝の時間帯から混雑が予想されるとのことですので、時差出勤、フレックスタイムを導入しても、通常よりも混雑することは避けられないかもしれません。


その点で、③のリモートワークについては、出勤自体を要しないということから、通勤混雑に巻き込まれるということはなくなります。

またリモートワークはロンドンオリンピックなどにおいても活用され、その効果が実証されていること、さらに政府も「テレワークデイズ」などリモートワークを推進していることもあり、自社でもリモートワークを導入しようかと検討しているところも多いのではないでしょうか。



では、リモートワークを行う際にはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。


☑労災保険も適用されます

まず、基本的なことですがリモートワークを行う労働者についても、労働基準法、安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法等の労働諸法令は適用されます。リモートワークを行う労働者であっても労働基準法上の労働時間規制などはもちろん対象となりますし、最低賃金の定めも通常の労働者と同様に適用されます。

また労災も当然に適用されるため、在宅勤務中に自宅で転んでけがをしたというような場合でも業務との因果関係があり、労働時間中に起こったということであれば労災保険の給付対象となります。

特に自宅で行われる在宅勤務の場合、労働者が通常生活している空間ということもあり、労災は適用されないのではと誤解されている場合が多いので、念頭に入れておく必要があります。


☑労働時間管理方法

リモートワークを導入する際に経営者や人事担当者の方が一番気になっているのが、労働時間管理方法かと思います。

リモートワークであっても、労働基準法は適用されますし、通常の固定的な労働時間制度を利用している場合には、時間外労働がある場合には当然にその時間外労働に応じた割増賃金を支払う必要があります。


なお、リモートワークの導入の際に固定的な労働時間制だけではなく、フレックスタイム制や裁量労働制などの柔軟な労働時間制度を適用させるということももちろん可能です。

また、リモートワークを導入する場合、事業場外みなし労働時間制を使えますか?という質問をよく受けます。

事業場外みなし労働時間制とは、業務の全部または一部を事業場=会社の外で従事したことによって指揮監督が及ばず、その結果労働時間の算定が困難な場合に、その事業場外の労働については「特定の時間」を労働したとみなすことのできる制度です

この「特定の時間」については所定労働時間の8時間とするというような会社が多くなっています。


つまり、「会社の指揮命令が及ばず算定が難しい労働時間については8時間とみなす」とすることができるのがこの事業場外みなし労働時間制です。


リモートワークが適用される労働者に、この事業場外みなし労働時間制を使えるかという点については、

①PC等により使用者の指示に即応する義務がない状態

②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないと

いう2要件を満たしていれば適用可能です。

この状態がどのような状態かというと、たとえインターネット回線が接続されていて、会社のメールやチャットがいつでも届く状態であってもその返信に即時対応する義務がなければ「PC等により使用者の指示に即応する義務がない状態」であると言えます。

また、業務の期限や、そもそもの業務内容の変更の連絡などは逐一業務に対しての指示を行っているとはいえず、こうした基本的な事項の業務連絡は「具体的な指示」とは言えないとされています。


個人的な考えでは、リモートワークの実態として、PCやチャットツール等を利用して上司やグループメンバーがなにか指示や突然の依頼をしたり業務命令を行うということが多いように考えていますので、意識的に「リモートワークの場合には即応しなくてよい、具体的な業務指示は行わない」というようにしていない限りなかなか事業場外みなし労働時間制を適用するというのは現実的でないように感じます。

経験則ですが、リモートワークを上手に活用している企業の多くが、通常勤務者と同様に固定的な労働時間管理を行っていることが多く、ドラスティックな変化を伴わず、就業場所のみ柔軟にするというほうが長続きしている印象です。


☑長時間労働・未払い残業代対策

また、リモートワークの導入で気を付けるべき点としては、長時間労働・未払い残業代対策が挙げられます。

これは、どうしても自宅などで業務を行っていると夕飯を食べた後に仕事を再開してみたり、週末にPCを持ち帰っているので休日にPCを開いて見たり・・・。「業務の終わり」の区別がつけにくいことから長時間労働になってしまうということがあります。

厚生労働省のリモートワークガイドラインにも記載があるのですが、こうした「長時間労働を防止する対策を図ることが使用者には求められる」という旨の記載があります。


たとえば、

①メール送付の抑制(役職者等から時間外、休日深夜におけるメール送付の自粛)

②システムへのアクセス制限

③リモートワークを行う際の時間外、休日、深夜労働の原則禁止等

が挙げられています。

長時間労働の抑制もさながら、在宅勤務だと仕事をしているのか他のことをしているのかというのが見えにくくなるのは事実です。

在宅勤務でだらだらと時間外勤務をされた場合に、会社としては気になるというお話をよく伺います。


③リモートワークを行う際の時間外、休日、深夜労働の原則禁止等についてはこうした面でも効果的ではないかと考えています。

少なくとも、時間外労働をする際には事前にメール等で許可を取ったうえで行うことが必要だと考えています。



いかがでしたでしょうか。緊急事態のコロナウィルス、まもなく迫るオリンピックに備え、リモートワークを導入・推進することで、従業員の安全を守り、業務に支障のない体制を確保していくことが可能になると考えます。


また、リモートワークは従業員が育児や介護等との両立のためにも非常に有効ですし、会社にとっても、リモートワークを導入することで優秀な人材を確保することができる等の効果もあります。


制度導入を気になっていた企業は、ぜひ試験的に開始してみてはいかがでしょうか。







寺島戦略社会労務士事務所

所長 寺島有紀



スタートアップ企業の人事労務体制構築、IPO労務コンプライアンス、 海外進出時の海外赴任制度構築・海外給与設計など、企業の成長フェー ズごとの経営戦略を支える戦略的な労務サービスを提供します。

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