【管理職の労務管理】管理職になったら知っておきたい法律と運用のポイント



1 .はじめに

新しい事業年度が始まり、この4月に新しく管理職に登用され初めて部下を持つ方もいらっしゃるかと思います。

本記事ではそんな管理職の皆さん向けに、管理職として知っておくべき法律の基礎知識と労務管理のポイントをお伝えさせて頂きます。

新任管理職の皆さんはもちろん、すでに管理職である方も今一度おさらいしておきましょう。



2 .知っておきたい!労働基準法の基礎の基礎

部下の労務管理を行う上で、知っておきたい法律として労働基準法があります。

労働基準法とは、その名のとおり労働基準(=労働条件に関する最低基準)を定める法律です。賃金、就業時間、休憩など、労働に関する基本的事項は労働基準法で定められています。


労働基準法に定められている主な内容について詳しく見てみましょう。


①36協定とは?労働時間や休日の上限について

36協定という言葉をご存知でしょうか。

労働基準法第36条にて定められているため、通称36(サブロク)協定と呼ばれている、労働者と使用者の間で締結する協定のことで、時間外労働時間(法定超労働時間)と休日出勤の上限について定められています。

本来労働基準法では、時間外労働、休日出勤は全面禁止となっており、時間外労働などをさせた場合は罰則規定が適用されるのですが、この免罰効果を持つのが36協定です。


ここでいう「時間外労働時間(法定超労働時間)」とは1日8時間もしくは週40時間を超えた労働時間であり、会社で話されているいわゆる「残業(=就業時間を超えて働いた時間)」とは区別して考える必要があります。

会社の所定労働時間(就業規則、就業カレンダーなどで定められた就業時間)が8時間未満であれば、残業のすべてが労働基準法上の時間外労働時間となるわけではなく、あくまでも残業のうち1日8時間もしくは週40時間を超えた労働時間が時間外労働時間となるのです。なお、時間外労働時間が発生した場合、通常の時間給の1.25倍の賃金を支払わなければなりません。


また、ここでいう「休日」とはいわゆる土日祝日ではなく、法人ごとに定めた週1日もしくは4週4日の休日のことです(ほとんどの会社は4週4日ではなく、週1日として定めています)。

いつが法定休日なの?と疑問に思われる方は、自社の就業規則を一度確認してみてください。「法定休日は日曜日とする」など明記しているケースもありますが、あえて特定していないケースもあります。


法定休日を特定しない場合、暦週(※就業規則に週の起算日が特定されていない場合日曜~土曜)において後順に位置する休日における労働が休日労働となるということが厚生労働省より示されています。


つまり、週2日の休日のうち1日労働させても、まだ1日の休日は残っていますのでその残った休日を法定休日として取り扱えば足りますし、その最後に残った休日にも労働させた場合その労働が法定休日労働となるということです。


暦週の間に1回も休日がない場合は、週の最終日を法定休日として取り扱うという事になります。


なお、法定休日に出勤した場合、通常の時間給の1.35倍の賃金を支払わなければなりません。


36協定を締結することにより、次のとおり時間外労働、休日出勤をさせることが出来ます。

  • 月45時間、年360時間を限度に時間外労働をさせることができる(具体的な上限時間数は会社ごとに設定可能)

  • 協定に記載した休日出勤時間・日数を上限に休日出勤をさせることができる

※但し、上記で定める時間数にかかわらず、時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、月100時間未満でなければならず、かつ2~6か月平均して80時間を超過しないこと。


また、さらに特別条項を設けることで年6回(6か月)まで、月45時間を超えて労働させることができます。(具体的な上限時間数は会社ごとに設定可能)

※但し年間720時間以内に限る


上記上限を超えると労働基準法違反となり、罰則が適用されるとともに企業名公表となる可能性もあります。

管理職の皆さんは、自社で締結されている36協定を確認し、部下の労働時間が時間外労働・休日出勤の上限を超えないよう管理する必要があります。



②年次有給休暇について

年次有給休暇とは労働基準法で定められている有給の休暇のことで、雇入れ日から6か継続勤務した従業員に対し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与されるものです。その後も1年ごとに毎年付与され、最大20日まで付与されます。

2019年4月の法改正で、会社はこの年次有給休暇を年間5日確実に従業員に取得させることが義務付けられたため、管理職の皆さんは部下が、年次有給休暇の付与日から1年間の間にきちんと5日とれているか管理するとともに、とれていない社員には取得を促すなどの対応を行う必要があります。



③休憩について

労働基準法では、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を設定し、取得させる必要があります。

管理職の皆さんは部下に休憩時間を必ず取得させ、その時間を自由に使わせる(電話番などをさせない)よう留意しましょう。



3 .管理職になったら気を付けるべきポイント

管理職になった際、知っておくべき事項は2に記載したとおりですが、その他運用に留意が必要な点をQ&A形式でまとめました。


Q1.部下がサービス残業を行っていた場合、管理責任を問われるのでしょうか?

A1.勤怠管理を徹底しておらず、残業の必要性などを把握していたと認められる場合、残業を認める意思があったと推定され、黙示の残業命令となり責任を問われる可能性があります。

普段から、「サービス残業の禁止」を明言し、勝手な残業を放置せず部下の勤怠管理をきちんと行っておく(残業申請が実態と異なると思われる場合は自ら注意する)等の対応が必要です。


Q2.メンタルヘルスが疑われる社員がいます。どのように対応すればよいですか?

A2.遅刻や欠勤を繰り返している場合は、まずは就業規則の規定に沿った受診命令を出しましょう。万が一規定がなくても、会社には安全配慮義務があるため明らかな異常が見られる場合は受診命令が認められる可能性が高いです(受診命令は他の社員の前では行わず個別に呼び出して話をする等、本人に負担がない方法で行いましょう)。診断が出たら、医師の命令に従って休職等の対応を講じましょう。


Q3.職場内でのセクハラ/パワハラの相談されました。どうしたら良いですか?

A3.時間をかけて事実確認を行い、相談窓口などと協力しつつ関係者の事情聴取を行い、必要に応じ懲戒処分、異動など改善に向けた対応を行いましょう。

自身の判断で「それは思い過ごしだろう」と被害者の気持ちを無視した発言をしたり、相談があった機密事項を別の同僚に話したりする(相談する)行為は避けましょう。



4 .おわりに

近年は長時間労働問題やハラスメント等の問題が注目され、いかに労務リスクを排除するかが企業を健全に運営するカギとなっています。

管理職一人一人が各種法令を理解し、適切な対策を講じることが必要となります。

上記に記載したポイントを確実に守ることで、労務トラブルが発生しないように気を付けましょう。




寺島戦略社会労務士事務所

所長 寺島有紀


スタートアップ企業の人事労務体制構築、IPO労務コンプライアンス、 海外進出時の海外赴任制度構築・海外給与設計など、企業の成長フェー ズごとの経営戦略を支える戦略的な労務サービスを提供します。




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